非破壊検査への疑問解消します
せっかく気持ちを込めて読んでいるわけですから、もう少しそれぞれの部分について詳しく見ていきましょう。
前述の例では為替の変化を五円刻みと大きく考えていました。
しかし実際には、為替し計算式が解けなくても、自分の経験則を働かせて、発生確率はどうであるか、またその時にもらえる利益はいくらなのかをしっかり把握できれば、おおよその見当はつくはずです。
そしてその分析からみて、フェアバリューが適切でないと思うのであれば、それがなぜであるかをプロに聞いてみればよいのです。
そうすれば、より詳細なことがわかると思います。
そうした行動を取ることによって、私たちは金融工学の世界と主体的にかかわることができるようになるのです。
曲者のオプション理論の分布に従っているとき、ある水準(標準d)以下の値をとる確率Ⅳ(d)を一発で計算できてしまいます。
ただし、この分布は平均がゼロで標準偏差が一ですので、入力する数値はマイナス三、プラス三あたりが常識の範囲です(もちろんどんな数値を入れても計算はできますが、意味のない数値が出てくるだけになります)。
これは、標準正分布では「マイナス一・六四以下の数値が出る確率は五%」という意味です。
「三つ」を代入するとどうでしょうか。
入れる前に少しだけ考えてください。
平均値はゼロと言いました。
ということは、ゼロ以下となる確率は「○・五」すなわち五○%となるはずです。
「つまり・六四以下の数値が出る確率は九五%」です。
反対に、一・六四以上の数値が出る確率は、五%となります。
このように大変便利な分布なのです。
標準正規分布を普通の正規分布に変換するには、どうすればよいのでしょうか。
たとえばある確率変数が、平均が一・○で標準偏差が三・○の分布に従っている場合はどうでしょうか。
実際の市場では標準正規分布に合うように相場が動くとはまず考えられませんので、ここではスタイルを変換するテクニックを学んでおく必要があります。
変換の方法は簡単です。
まず標準正規分布では標準偏差は一でしたので、これを三・○にするには三を掛けてやればよいのです。
平均はゼロでしたので三を掛けても平均値はそのままです。
そして、平均を一p○になるようにするには、一を加えます(+一・○)。
これで計算すれば完成です。
この分布上である値(一般d)以下の確率は、上の式を展開して求めることになります。
市場で成立している価格の動向をどうとらえるか、これが実に悩ましいところです。
ここがうまくいかなければ、オプション価格などは、とても計算することなどできません。
しかしどう見ても金融市場の値動きは、常に勝手な動きを繰り返しているようにしか見えません。
景気がよくなりしばらく株式市場が上昇を続けていたかと思うと、突然何かのきっかけで大暴落したりします。
後からあれはバブルだったとか「後講釈」が付けられたりして、とても規則性があるとは思えません。
ところが、立派な規則があるのです。
「規則性がない」と言いましたが、これこそが規則なのです。
屈理屈ではありません。
真面目も真面目、大真面目な議論なのです。
標準偏差のことをボラティリティとも言います。
ボラティリティが高ければそれだけ市場の変化率が高い、つまり乱高下する激しい市場であるということです。
通常、為替市場では年率のボラティリティは七?一五%くらいで推移しています。
株式のボラティリティは一般的にはこれよりも高く、二○、四○%くらいです。
標準正規分布から比べるとはるかに広がりのある確率分布になります。
金融理論では、市場価格の動きを次のように考えました。
市場における収益率は、ランダムウオークするものである。
ランダムウォークとは、でたらめで規則性のない運動のことを指します。
つまり、上がったり下がったり勝手気ままに動くのが価格であるとしました。
ここまでは「フムフム」と思うでしょう。
ここからの展開が肝心の部分です。
このでたらめの動きの差をデータとして集めて分析してみると、その合計はナント、中心極限定理によってゼロに近づき、その確率分布は正規分布に近似するという大前提をうち立てたのです。
実はこの考え方のネタは、自然科学にあります。
水の中にインクを一滴たらすとインクが水のなかで広がっていきます。
時間が経てば経つほど広がりは大きくなります。
この運動はブラウン運動と呼ばれ、分子や原子がでたらめにぶつかって(ランダムウォーク)四方八方に拡散していく動きの現象のことです。
ブラウン運動を物理学的な観点から研究をして、水や大気など日常的物質が目に見えない分子や原子からできていることを理論的に示したのが、相対性理論を構築したあの有名なA・A博士です。
また、数学的見地から研究をしてウィーナー過程という考えを導き出したのが、数学者N・Uという人です。
価格変動をしている株価があったとしましょう。
よく新聞でも見かけるような平凡な価格推移です。
金融理論ではこうした価格変化を二つに分けて分析します。
ひとつは時間の経過とともに一定の傾きをもって上昇するグラフです。
これは市場価格の基本トレンドを表しています。
もうひとつのグラフは、縦軸のゼロを中心に上下に激しく変動しています。
まさに勝手気ままに動いている、ランダムウォークしている動きが見てとれます。
ここで注意が必要なことは、価格変動を時間ごとの変化率として表していることです。
このランダムウォークは……時間ごとの動き(離散的時系列)を示します。
時間を無限に細かくして表したのが(連続的時系列)、ウィーナー過程です。
このウィーナー過程には約束事があります。
それはウィーナー過程が、期待値20、標準偏差が画(時間変化)の正規分布に従う確率変数であるということです。
標準偏差が厩とは、時間が経てば経つほど分散が広がってくるということです。
まさにブラウン運動が示す拡散現象を表していると考えてください。
前項で説明した為替相場のシンプルなモデルで言うならば、時間が経つにつれてもとのレート(一二○円)からどんどん離れていきます。
つまり、時間が長ければ長いほど、為替レートの変化量は増えていきます。
そんなイメージです。
以上をまとめると、金融モデルはドリフト項と呼ばれる部分と、ウィーナー過程に基づく部分との足し合わせで構成されているのです。
さて、今までは、正規分布を使って市場価格の動きを説明しました。
ここまででも結構面倒な話でしたが、もう少し複雑な話をします(あまりエネルギーが残っていないと感じたならば、この部分は飛ばしてください。
もっと重要なことがこの後に待っていますので)。
それは、金融モデルでは正規分布を使うこの部分も難儀であれば飛ばしてください。
重要なことは最後までたどり着くことです。
それともかく、価格モデルにおいてはドリフト項を1として計算します。
Rとは非危険利子率と呼ばれるもので、資金を投資した場合にリスクなく運用できる利子率のことを指しています。
国債のように国が支払いを保証しているものについては、将来の資産価値のではなく対数正規分布を使ってオプションの計算をしているということです。
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